新株発行までの期間短縮 | 株券がなくなるってほんと?

新株発行までの期間短縮

少しキーワードが引っかかるので、grandeさんの ここ と、そこでReferされている 投資生活さんの ここ にトラックバックさせて頂きつつ、久々に無券面ネタを書かせて頂きます。

grandeさんが投資生活さんの以下のコメントを引用されています。<blockquote>今の株式分割の問題は株券の発行に時間がかかる為であって1~2年後には電子株券が公認されそうで、そうなったら分割の権利日から、即日に新株が交付されるようになるそうな、そうしたらこのマネーゲームは成立しなくなるだろう。その頃に昔はこんなマネーゲームがあり、2ヶ月の短期でこんな相場があったんだと飲み屋での話題になるだろうな、と妄想しています</blockquote>

この部分につき少し補足しておきたいと思います。

まず、今、投資生活さんが提起されている問題の原因は、ひとつは物理的な株券の存在にあることは間違いありません。新株が発行されると物理的に印刷、運搬、引渡の作業が発生しますので、今日の明日というわけには行きません。これは株式の電子化により解決できる問題です。

一方、発行会社あるいは信託銀行等の証券代行会社にとっては、物理的な券面の問題もありますが、その手前の株主名簿の整備も大変なようです。とくに株主名簿の名寄せです。
A証券会社の顧客であるXさんは、B証券会社とも取引がある。この場合、A証券からもB証券からもXさんが株主として通知されます。この株主通知を受け取った証券代行会社では、A証券のお客さんであるXさんとB証券のお客さんであるXさん、これは同一人物ですね、と名寄せの作業をされるそうです。

これは、
 1.名寄せをしないと単元未満株(あるいは端株)が生じるが、名寄をすれば単元株になる可能性もあり投資家の利益に資すること
 2.名寄せをしないと正確な株主数が把握できず上場基準の充足・未充足が正しく判断できないこと(最近とくに厳しいですね)

という、2つの理由によりかかる手間が加えられています。
残念ながら、この名寄せの作業は、単純に株式を電子化するだけでは解決できません。

ただ、電子化を機に名寄せの方法を見直そうという動きもあるようで、権利確定から実際に売買可能になるまでの期間も短縮できるかもしれません。

あと、ご参考ですが、株式の電子化(無券面化自体は、平成16年9月の商法改正により法律上はすでにスタートしております。定款に「株券は発行しません」と定めをおけば株券不発行会社に移行できます。ただ上場会社については、株券不発行=振替制度利用となっており、その振替制度の受け皿構築のため最大5年の猶予が設けられ、平成21年6月を期限として一斉移行すること(時期は未確定)となっています。ご参考まで。